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今年はモーツァルトばかりやらなきゃならないとレイジの愚痴。 プロだからなんでも弾けなきゃならなくて 弾いてはいるのだけど ノリが合わないというのはクラシックミュージックでもあるらしい。 「モーツァルトのリズムパターンていうのがあって 俺は苦手で、どうしてもそのパターンを壊してしまうし ずっと気をはってないと違う音楽になってしまう」 というわけで彼は毎日日付けが変わるまで居残りレッスンをやっていて 朝も早くからスタジオへ出かけて行く。 手が覚えるまで弾くしかないと笑う。 絵を描くのも同じで、何も考えないで次々に手が動いていくようになるには 日々精進するしかなくて、例えば2日間でもそれを休むと 次に鉛筆を持っただけで感覚がおかしいなとすぐ気づく。 そんな時はスケッチブックに落書きを3時間くらい描いて なんとかもとの手に戻すようにしているけど こんなんじゃ先人の画家たちに軽蔑されてしまうに違いない。 どんな仕事にも言えることで 長い休暇のあとで システムプログラムを書き直すとか クライアントに商品説明しにでかけるとか 企画書を半日で仕上げるとか ブランクの後、自分をもとに戻すこと。 ぎこちなくて少しだけ必死。 長く音信普通だった男性と不意に会ってしまって なりゆきでキスをする時 それは「おやすみ」っていう挨拶程度のキスなのに 一瞬いろんなことが頭によぎる。 あれ?どうやってしてたんだっけ。 えっと、こんな感じだっけ。 ぎこちなくて少しだけ必死。 鼓動が早くなって、からだが震える。 まるで初めてキスした時みたいね。 あの頃に飛んでかえったみたいね。 というのは錯覚。シチュエーションでの脳神経の酷似。 ブランクを埋めようとする生理的反応。 だからわたしはすっとタクシーを降りて手をふる。 「おやすみなさい」と告げて にっこり笑顔をつくることもできる。 気をつけなくちゃ、取り戻さなくていいものもあるんだから。 上手に場面を判断できた自分にほっとする。 でも感情を人体学みたいに考えるのは情緒がなさ過ぎる気もする。 でも流されるまま気分のままっていうのも品がない気がする。 ぼんやりぐるぐる考えながら見上げた闇のなかに桜。 ふんわりと花をつけているのに なんだか枝は重たそうにしなっていた。 重くなったら花を散らして また来年も花をつける。 #
by kanakoi_ver01
| 2006-04-01 10:55
| Fact/001-
うーーーん何だか何もなくてのんびりしてて あんまりこんなことを書くのはスジ違い おかしいのだけど まったくここを自分で開けることすらないのは 何ごともなくおだやかに過ごしている からです。 たくさんの方に毎日来ていただいているというのに 何も発せない まあいいか、と思っていたのですが ねえ、 これではあまりにも、あまりにも、ですね。 ここに 書くべきことはあるのですが(自分のために) うーーん ふふふ そんな感じです。 わたしはとても健康で、心地よく暮らせています。 ここのペースは戻らないかもしれないし 何かあれば書き残したいのですが 先のことはよくわからない。 ここに書くのをやめるときも、たぶん ほったらかしのまんま だと思います。 とか言いながらやめる気は全然ないんですけど。 ごめんね。 気長に時々立ち寄ってみてください。 #
by kanakoi_ver01
| 2006-03-30 00:43
| Fact/001-
美容院のアシスタントの子が話すこともないからか 「どんな芸能人がタイプですか」 と聞いてきた。髪を乾かしてくれながら。 「・・・まったく思いつかないです」 と答えるわたし。笑うヘアスタイリスト。不思議そうなアシスタント。 興味がないというのは困りものなのかどうなのか 「若い頃はそういうのあるんでしょうけどね」 「じゃあ以前はどんな人が?」 だってトニー・レオンとかみうらじゅんとかレッチリのアンソニーとか (みんな今も好きだけど)言ってもわからないでしょ。 「子供のころ大好きだった歌手なんかが 今うっそーってくらい変わってると悲しいですね」 と言うスタイリスト。 「ああ、高校の時は学校一番のハンサムだった子が 中年太りで髪の毛もさびしく、とかね」 「あんなに憧れてたのに!って」 みんなで笑って話す、けど他人ごとじゃない。 自分自身がそう思われたらたいへん。 あんなにかわいかったのに(!)今じゃすっかりおばさんだね。 年には勝てないね。 もちろん勝てないけど、それなりの姿はキープしなければ。 太らないように、顔もボディもケアを怠らず、ファッションも気をぬかず、 爪もきれい、髪もきれい、言葉づかいもきれい、食べ方もきれい、 姿勢をよくして歩いていく。 最低限これだけは続けてるつもりだけど 見るひとによって、まあ印象も違うだろう。 実は気をぬくと体重にあらわれる怖い体質。 ちょっと重くなると、すぐに調整にとりかかる。 三分間無酸素・有酸素運動、ランチのカロリー制限、ウォーキング、 二週間で2キロ、体脂肪率3%を落とす。 これが年々落としづらくなっていて、代謝率が悪くなっているせいだけど 年には勝てなくもないのよ、という心意気でなんとかなっている。 そうね、このへんは「気合い論」。 「久しぶりにMさんに会ったんだけど、びっくりよ」 知り合いの女性がMと仕事で会ったらしい。 「どしたの?」 「なんかすごく太ってて、がっかりなの。 顎のラインなんか失いかけてるわ」 あらあら。 「見たくないわね」 「幻滅するわよー」 「幸せ太りかしら。だといいんだけど」 「よくないわよー。幸せだろうがなんだろうが脂肪は敵よ。 印象悪いと仕事にもさしつかえるわ」 辛口の女性は、ああもうMさんも終わりねって何が終わるのかわからないけど 突き放すような言い方をした。 わたしはもう彼に会いたいとはちっとも思わない。 でも太った彼なんて もっと会いたくないわね 神様ありがとう 罰が当たるようなことを考えてふっと笑った。 昔の恋人たちにも会わないほうがいいのかも。 お互いのためにね。 #
by kanakoi_ver01
| 2006-03-05 11:49
| Fact/001-
再来週、仲のいい男性が結婚する。 御招待なんてしてくれるから、ドレス選びに頭を悩ます。 手持ちのドレスでは、おとなっぽさとかマダムっぽさとかなくて 36歳にそぐわないから、やっぱり新調するしかないかしら。 「誰も君のことなんて見てないよ」 ってレイジが笑う。そりゃあ主役は新郎新婦だけどね。 ひとから「あらいい歳してあんな派手なドレス若い娘さんみたい」 なんて絶対に思われたくないのよ。 「コンサートとかバレエ見に行く時のブラックドレスがあるじゃない」 「あれももうダメ。パニエ付きなんて36歳っぽくないわ」 「そんなもんかねえ」 男性はいいわよね。ブラックスーツがあれば、シャツとタイを変えるだけで どんな式もパーティーもこなせるんだもの。 「君が年相応にこだわるのも、変だよ」 結婚する仲のいい彼は「もうそろそろ結婚するかぁって思って」と 笑っていた。わたしより1つ年上。 「そうね、いいかげんにしなきゃね」とわたしも笑った。 お相手の女性は12歳年下で、わたしも何度かお会いしたことがある。 「すっごい結婚したがるんだ。25くらいの女ってのはそうなのかな」 「統計はわからないけど、そうなのかもね。若い頃のほうが 結婚したいのかもしれないわ」 「君もそうだった?意外だな」 「ううん、わたしは全然・・・」 まさか36にもなって結婚してないとは思わなかったけれど 今や一生する必要もないと考えている。 でもまあ、世間的にはみっともないから 「一度くらい結婚してバツイチになっておけばよかったわ」 これは本音。 まだ独身?このひとは何か決定的な欠点があるのでは? ふっと知り合うだけのひとに そんなふうに見られてることくらい、よくわかってる。 「君もそろそろ結婚すればぁ?」と仲のいい彼が言う。 「いつまで引っ張ってても仕方ないぜ。将来寂しいぜ」 「そうやって自分のチームに引き込まないでよ。 歳をとって寂しいかどうかなんて、わからないじゃない」 今わたしが見ているひとりで暮らす年輩の方々だって ほんとに寂しいのかはわからない。 伴侶がいたって子供がいたって寂しいひともいる。 わたしがこの歳になってわかることといえば その時になってみないとわからないってこと。 同じような立場でも、人間が違うと考え方も感じ方も違う。 ずっとそうだったもの。 対策を練っていても、計画を立てていても、 見通しどおりに行ったことなんてない。 まあ、予定調和なんて人生だったら、 つまらなくてあくびが止まらないだろうけど。 このひとは何か決定的な欠点があるのでは? ていうのは案外当たっているのかもしれない。 こんなことばかり考えているのはわたしの欠点。 年相応に憧れながらも、そこにすとんとおさまりきれない。 諦めきれない? 何を? それを探してるあいだに、わたしの人生は終わっちゃうだろう。 寂しくなったり退屈してる時間はなさそうだ。 #
by kanakoi_ver01
| 2006-02-25 13:06
| Fact/001-
20年前。 高校生のわたしが恋をしたのはギターを弾いてる同い歳の男の子。 わたしは音楽が大好きで、先輩に連れられて出かけたライブハウスで その子に出会った。 その子は何もかもあんまり面白くないって顔をして 4人でロックバンドを組んでいて ちっとも若者らしくない暗いロックをやっていて かわいらしくてセクシーで、とっても人気があった。 わたしはすぐにその子たちと仲よくなって いつもずっといっしょに遊んでいたけれど 恋をしたギターの子には告白なんてできずに ずっとずっとみんな仲のいい友達で バレンタインデーには、毎年4人に同じチョコレートをあげていた。 高校を卒業してそれぞれ進路はバラバラになっても 彼らのバンドは続いていたから ずっと仲よく遊んでいた。 でも それでも時間が経っていくと 就職した子は仕事に終われ 大学に行った子は学生生活に夢中になり 何だか複雑にゆがみはじめた。 わたしが恋をしていたギタリストの彼は いつも静かにそのゆがみを見つめていた。 彼は学生でアルバイトもたくさんしていたけれど そのバンドのことを何よりも優先してた。 「飲みに行こうよ」って誘っても 「新曲仕上げて明日持って行かなきゃ悪いから」 「スタジオ代がかかるから遊びに行かない」 「そんな暇あったら曲作る」 って調子で、まあ、わたしが相手にされていなかっただけ かもしれないのだけど。 彼らはデビューの話が持ち上がった時、ダメになった。 趣味や遊びじゃなく仕事としてバンド活動をする ということが現実になった時、 ひるんでしまう子がいた。 「俺、今の仕事好きだし。生活できるかもわかんないのに」 ってことだ。 わたしが恋をしていたギタリストの彼は 深く絶望した。 彼はコレに賭けていて、いつも現実化をはかっていたのだけど、 他の子は夢をリアルに置き換えることが できなかった。 そんなことがあった冬のバレンタインデーに わたしはギタリストの彼にだけ、チョコレートといっしょに ビートルズのオルゴールを添えてあげた。 「みんなには内緒ね」って。 それが15年前のこと。 ギタリストの彼はもうロックバンドを組むことはなく バイオリンでクラシックミュージックを弾き続けた。 今はそれでご飯を食べている。 わたしとは音信不通になりそうになりながらも なんとかつながりはあって、わたしは彼に毎年チョコレートをあげている。 もう20個。 ね、レイジ。 #
by kanakoi_ver01
| 2006-02-15 00:20
| Fact/001-
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